これからもビシバシ働いて金をガポガポ稼いでウハウハ浪費して私のために経済を豊かにしていってください。
――さて、使うお金がありすぎて持ち運ぶのに不便している方に私からデビットカードの使用を提案致します――
イーバンク銀行では現在3種類のイーバンクマネーカード(キャッシュカードとデビットカードの機能を同時に持ったカードの商品名)を案内しています。
「3種類のマネーカードの中から消費者はどれを選べばおトクになるのか?」を数学的に考えていきます。
カードの種類 | 会費 | ポイント還元率 | ATM利用手数料月間無料回数 |
---|---|---|---|
クラシックカード | 無料 | 0.2% | 2回 |
クラシックプレミアム | 1000円/年 | 0.5% | 2回 |
ゴールドカード | 3000円/年 | 1% | 5回 |
「ATM利用手数料月間無料回数が5回だからゴールドカードにするわ」という方や「ゴールドカードの会費は月払いで使ってるよ」という方などは少数派であると思われますので
- ATM利用手数料月間無料回数
- 月払い(300円/月=3600円/年)で使うゴールドカード
- ゴールドカードの「特典」
- カードのデザイン
といった要素については全く無視し、会費とポイント還元率についてのみからカードの価値を考えていきます。
何も考えずにゴールドカードにし、1年で10万円使ったとすれば、ポイントはその1%の1000ポイントが貯まりますが、年会費で3000円取られてしまうので、結局は2000円の赤字になります。
クラシックカードで1年10万円を使えば、ポイントは200ポイント貯まり、年会費は無料なので200円分の得です。
高々1年10万円をマネーカードで支払ったところでゴールドカードはクラシックカードよりも得にはならず、それどころか会費を差し引かれて損をしてしまいます。
ポイントで元を取るにはマネーカードでいくら支払えばいいのか?
- ゴールドカードの3000円の会費の元を取るのに3000円分のポイントが欲しい
- 還元率が1%なので、1ポイント貯めるのに100円掛かる
- つまり、3000ポイント貯めるのに3000×100円掛かる
- 300000という数値を3000に変えるような数式を適当に作る
aをポイント還元率、bを目標のポイントとして、これを式にして表わすと
(100/a)b
となります。
aとbに数値を代入し、計算
ゴールドカード:(100/1)*3000
クラシックプレミアム:(100/0.5)*1000
つまり、ゴールドカードは300000円/年(25000円/月)、クラシックプレミアムは200000円/年(16666.66円/月)使わなければ会費の元すら取れないというわけです。
上記に出てきたa(100/b)という数式ですが、これは以下の方程式でも代用可能です。
(a/100)x-b=0
「=0」というのは損も得もしない状態、ということを意味しています。
カードの種類による「お得度」の比較
では1年間にいくら使えばゴールドカードがクラシックカードよりも得になるのか?
それは一次関数の式を作り、方程式で比較することができます。
aとcを各カードのポイント還元率、bとdを各カードの年会費とし、これを式に表わすと
(a/100)x-b=(c/100)x-d
となります。
ゴールドカード(左辺)とクラシックカード(右辺)
0.01x-3000=0.002x
0.01x-0.002x=3000
x=375000
より、375000円/年(31250円/月)使えばクラシックカードよりもゴールドカードの方が得だということが分かります。
そのとき貯まるポイントはカード別に以下のようになります。
クラシックカード | 750ポイント |
---|---|
ゴールドカード | 3750ポイント |
クラシックプレミアム | 1875ポイント |
ゴールドカードは3000円の年会費を払わねばなりませんから、残るのが750ポイントであり、クラシックカードと実質的に同じになります。
クラシックプレミアムには注目です。1000円の年会費を払いますが、残るポイントが875ポイントとほかのカードよりも多めになることが分かります。
イーバンクマネーカードの案内にあるゴールドカードの「追記」の欄に「会費を年払いされた場合は、毎月31,250円以上のVISA決済でおトクになります。」と書かれていますが、この額ではクラシックプレミアムの方が得なのです。
ある価格帯ではクラシックプレミアムの方が得になることが分かりましたが、どれくらい支払えばクラシックカードよりも、ゴールドカードよりも、クラシックプレミアムの方が得になるのでしょうか。
それは素直に全てのマネーカードを方程式で比較していけば分かります。
クラシックプレミアム(左辺)とクラシックカード(右辺)
0.005x-1000=0.002x
0.005x-0.002x=1000
x=1000000/3
より、333333.33円/年(27777.77円/月)を使うならば、敢えてクラシックカードを選ばずにクラシックプレミアムを選ぶ方が得。
クラシックカード | 666ポイント |
---|---|
クラシックプレミアム | 1666ポイント |
ゴールドカード | 3333ポイント |
ゴールドカードは年会費により-3000されますから、実質的に残るのは333ポイントであり、この価格帯ではほかのカードよりも損であることが分かります。
クラシックプレミアム(左辺)とゴールドカード(右辺)
0.005x-1000=0.01x-3000
0.01x-0.005x=3000-1000
x=400000
より400000円/年(33333.33円/月)以上使うとゴールドカードがよりお得。
クラシックプレミアム | 2000ポイント |
---|---|
ゴールドカード | 4000ポイント |
クラシックカード | 800ポイント |
クラシックプレミアムもゴールドカードも年会費を差し引いても1000ポイント分の価値がありますから、クラシックカードは不利になります。
まとめ
クラシックカード=0.002x
クラシックプレミアム=0.005x-1000
ゴールドカード=0.01x-3000
上記はxを年間の支払総額とした場合の一次関数式です。グラフを下記に載せます。
図では交差部分が読み取りにくいですが、「どの種類のカードを使うべきなのか」が一目瞭然の下記の不等式が参考になります。
年間の支払総額(単位:円) | カードの種類 |
---|---|
0≦x≦333333 | クラシックカード |
333333<x≦400000 | クラシックプレミアム |
400000≦x | ゴールドカード |
ポイント優待デーを利用する
しかし、「ゴールドカードは年40万円も使わないと使う価値がない」というわけではなく、ポイント優待デーを利用することにより、その敷居も若干下がります。
ポイント優待デーとは:毎月第4土曜日が対象。その日に買い物をするとポイント還元率が1.5倍になる。
現実的ではありませんが、「ポイント優待デーのみを狙って買い物する」というシナリオを想定し、各カードを比較してみます。
クラシックプレミアム(左辺)とクラシックカード(右辺)
0.0075x-1000=0.003x
0.0075x-0.003x=1000
x=2000000/9
より222222.22円/年(166666.66円/月)以上使うとクラシックプレミアムがよりお得。
クラシックカード | 666ポイント |
---|---|
クラシックプレミアム | 1666ポイント |
ゴールドカード | 3333ポイント |
クラシックプレミアム(左辺)とゴールドカード(右辺)
0.0075x-1000=0.015x-3000
0.0075x-0.015x=3000-1000
x=800000/3
より266666.66円/年(22222.22円/月)以上使うとゴールドカードがよりお得。
クラシックプレミアム | 2000ポイント |
---|---|
ゴールドカード | 4000ポイント |
クラシックカード | 800ポイント |
まとめ
クラシックカード=0.003x
クラシックプレミアム=0.0075x-1000
ゴールドカード=0.015x-3000
上記は「ポイント優待デー」にのみ適用される一次関数です。
ポイント優待デーのみを狙って買い物すると仮定して、支払総額の大きさ別にカードを薦めるならば、下記の不等式が利用できます。
年間の支払総額(単位:円) | カードの種類 |
---|---|
0≦x≦222222 | クラシックカード |
222222<x≦266666 | クラシックプレミアム |
266666<x | ゴールドカード |
上記はあくまで目安であり、大体の人が厳密に年間いくら使うかなんていうのは意識していないと思いますので、「クラシックカードを使っておけばとりあえず無難」という考えは真実でしょう。
「ゴールドカードはよく考えて使わないと損しちゃいますよ」ということを要するに言いたいわけです。
これまで出てきた計算のやり方は全て中学3年生までに習うものです。2元一次方程式や連立方程式を解かされて「こんな難しい計算やって将来役に立つのかよ」と思ってる中学生は多いでしょうが、その質問に答えられない教師が多いのも、悲しいことながら事実です。
有限の財産を無駄にしないために数学を使うというのも有意義なことだと思いますので、これを参考にして数学を学ぶキッカケを掴んで頂ければ私としても光栄の至りというもんです。
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